データベースのトリセツ — 顧客台帳をExcelから卒業
朝一番、経理のパートさんが去年の見積もり控えを探している。名前で並び替えたら、他の列がずれてしまった。半田の金属加工会社の社長は、それを横で見ながら「また台帳が壊れた」とため息をついた。

顧客を探す時間を、5分から10秒にします。使うのは月0円から1,500円のデータベースと、今のExcelの中身だけです。
なぜExcel台帳は壊れるのか
顧客台帳のExcelは、最初は数十件でも困りません。壊れ始めるのは、だいたい次の3つの瞬間です。
- 複数人で同時に開いたとき。営業と経理が同じファイルを開いて、片方の変更が消える。
- 列や行を1つ消したとき。並び替えをしたら、電話番号の列だけずれて、違う人の番号がついてしまう。
- 件数が増えて重くなったとき。500件を超えたあたりから、開くのに時間がかかり、検索しても目当ての客が出てこなくなる。
これはパソコンが古いからでも、担当者が下手だからでもありません。Excelは「1人が、少ない件数を、たまに触る」ための道具です。何人もが毎日触る台帳には、そもそも向いていないのです。
今日からできる引っ越しの手順
大きな工事ではありません。半日あれば最初の一歩は終わります。
- 手元のExcel台帳を1つのファイルにまとめる。列の名前をそろえる(会社名・担当者名・電話番号・最終取引日・次回連絡日など、5〜8項目で十分)
- 無料のデータベースサービスに登録する。メールアドレスだけで、10分ほどで終わる
- Excelの中身をそのままコピーして貼り付ける。取り込み機能があれば1回で済む
- 誰が何を触れるか決める。見るだけの人と、書き込める人を分ける
- 1週間、Excelとデータベースを両方使ってみる。どちらが早く客を探せるか、実際に試す
- 慣れたらExcelファイルは開かないと決める。台帳はデータベース1つに絞る
つまずいた話 — 半田の金属加工会社の場合
半田の金属加工会社では、Excelから一気にデータを移したところ、同じ会社が3つの名前で登録されてしまいました。「株式会社◯◯」「◯◯」「(株)◯◯」と、Excelの中で表記がバラバラだったためです。移した直後は検索しても目当ての客が3つに分かれて出てきて、かえって時間がかかりました。
担当者いわく「移す前に、まず会社名の書き方をそろえておくべきだった」とのことです。件数が少ないうちに一度、表記を見直してから引っ越すのが近道です。
数字の根拠
今回のケースは取引先200件、担当者3人の会社です。導入前は、Excelを開いてスクロールしながら客を探すのに平均5分かかっていました(フィルターが一部壊れていたため)。データベース導入後は、名前を打ち込むと候補がすぐ出るため、体感10秒に短縮されました。
費用は、登録件数が50件までは無料のプランで足り、200件規模になったところで月1,500円のプランに切り替えています。重複登録は、表記をそろえた後の集計で0件になりました。
取引先が50件以下で、1人だけが台帳を触っている会社は、正直Excelのままで十分です。パソコン入力に慣れていないベテラン事務員さんが一人で全部を回している場合、切り替えに数か月かかることもあります。逆に、複数人が毎日台帳を更新する会社ほど、引っ越しの効果は大きく出ます。