FAX注文を打ち直す仕事、やめられます。読み取りAIの選び方
朝8時、事務所のFAXトレイに10枚ほどの注文書が積まれている。ほとんどが手書きで、文字は薄かったり癖字だったりする。今日も経理のパートさんが、その1枚1枚を見ながらパソコンに数字を打ち込んでいく。月末になると、この作業だけで半日がつぶれる月もある。

手書きFAXの注文を読み取るAIを使えば、1枚5分かかっていた打ち直しが1分半になり、月の残業代が4万2000円から8000円に減ります(岡崎の製缶屋、導入90日目の実測)。
なぜ、今までは無理だと思われていたのか
手書きの注文書は、会社によって書式がまちまちです。数字の「1」と「7」を似た形で書く人もいれば、品番を略して書く人もいます。数年前までのAIは、こうしたクセ字を読み間違えることが多く、「結局、人が全部見直すなら意味がない」と言われていました。
ところが最近のAIは、同じ取引先の書き方を覚えていく力がついてきました。豊田の樹脂部品工場では、最初の2週間だけ人が読み方を教え、そのあとは9割以上を正しく読むようになったそうです(導入3ヶ月目の実測、推定ではなく実際の記録です)。大事なのは、AIが完璧に読むことではなく、「読めなかった時に、ちゃんと人に聞いてくる仕組み」があるかどうかです。
今日からできる、選び方と進め方
- 1)まず1ヶ月分のFAX注文書を数える。枚数と、取引先の数を紙に書き出してください。ここが分からないと、AI会社に相談しても話が進みません。
- 2)読み取りAIの会社に、実際のFAX画像を5枚送ってお試しをする。その場でどれだけ正しく読めるか見せてもらいます。無料でここまでやってくれる会社を選んでください。
- 3)「読めなかった時にどうなるか」を必ず聞く。読めない字を無理やり数字にする会社は避けます。「分かりません」と赤字で表示して、人に確認を求める会社を選びます。
- 4)最初の2週間は、全件を人が目でチェックする。ここを飛ばすと、注文の数を間違えて客先に迷惑をかけます。急がないことが結局は近道です。
- 5)2週間たったら、正しく読めた割合を数える。9割を超えていたら、金額が小さい注文だけ人のチェックを外していきます。
- 6)月1回、読み間違いの実例を担当者と見直す。クセ字の取引先ごとに、AIに教え直す作業を続けます。
- 7)3ヶ月たったら、かかった時間を最初と比べる。ここで初めて「元が取れたか」が分かります。
つまずいた話:最初の1週間は「読み間違いだらけ」だった
岡崎の製缶屋では、導入した最初の週、読み取りAIが取引先の会社名と品番を何度も取り違えました。原因は、FAXの解像度が低く、文字がかすれていたことでした。総務の担当者が「これなら手で打った方が早い」と一度は使うのをやめかけたそうです。
解決したのは、FAX機を新しく買い替えたことではなく、受信したFAXを一度スキャナーで読み直し、白黒をはっきりさせてからAIに渡すようにしたことでした。この一手間で、読み間違いは半分以下に減りました。機械のせいにする前に、紙とFAXの質を疑ってみてください。
数字の根拠
ここに書いた時間と金額は、岡崎の製缶屋(従業員18名)と豊田の樹脂部品工場(従業員45人、樹脂成形)の2社が、実際に3ヶ月使った記録によるものです。会社によって注文書の書式や文字のクセが違うため、あなたの会社でそのまま同じ数字になるとは限りません。導入前に、必ず自社のFAX画像でお試しをしてから決めてください。
注文書がほとんど手書きでなく、パソコンで作ってFAXしている会社は、もともと読み取りやすいので効果は小さめです。逆に、取引先が1社ずつまったく違う書式で、しかも月に10枚もFAXが来ない会社は、AIに覚えさせる手間の方が大きくなります。また、「最初の2週間、人がチェックする時間」を取れない会社は、読み間違いに気づかないまま注文を通してしまう危険があります。